労働後、乗り越し精算しようとしてカバンの中を見ると財布がなかった。
だが私は思い出した。
確か、もしもの時用にカバンの内ポケットにお金を入れていたはずだ。
あった。1150円入っていた。
何週間か前の自分、本当にありがとう。
助かりました。
気持ち悪いくらいお腹が空いていた。
スーパーに行ってお昼ご飯を買ってフードコートで食べた。
いちごオーレが美味しくて思わず目をつぶった。
「手作りなめらかプリン」を一口食べた瞬間に泣きそうになった。
満腹になったあと、強烈な眠気に襲われて一瞬居眠りしてしまった。
そしたらひとりのおじいさんが「ここ飯食べるところやねん昼寝するところとちゃうねん」と言いながら隣に座った。
私は「あっすいません」と寝ぼけながら言って席を立ってフードコートをあとにした。
完全に目が覚めて、微妙に腹が立ってきた。
たしかにフードコートはご飯を食べるところだけど、ちょっとぐらい居眠りしてもいいじゃないですか!
別に席は他にも空いてるしあなたは座れてるじゃないですか!
もしかして私の座っている席はあなたのいつもの特等席なのですか?
そんなの知らないよ!
あなたの左隣のおじさんだってご飯食べずに勉強してますよ!
だけど、おじいさんが起こしてくれなかったら私はちゃんと起きることができていたのだろうか。
教習所に遅刻しなかったのはおじいさんのおかげなんじゃないの?と思い始めた。
ありがとうございます。
助かりました。
………………
という日記を書いて私は教習所に行き、おもしろやさしいおじさん教官の指導の元、車をビビりながら急発進させたりした。
ニキビが全然治らないので、近くのドラッグストアに薬を買いに行くために一回家に戻って財布を取りに行こうと思った。
しかし、家に帰って部屋を見ても財布がない!
どこにもない!
絶望した。
二箇所警察署に電話をかけても、届いていないので遺失届を書きに来てくださいと言われた。
ダメ元で職場に連絡すると、なんと財布があった!
しかも、店長が職場最寄り駅まで財布を届けてくれた。
本当に申し訳なかった。
見つかってホッとした。
自分は何をやっているのだろうと反省した。
Twitterで「一人 回転寿司」とか検索してる場合じゃないですよ。
頭を回転させてください。
帰り道、小学校低学年ぐらいの男の子が茶色いトイプードルを走りながら散歩させていて、トイプードルが超はしゃいでいて私の方に飛び跳ねながら近づいてきた。
小さな男の子と犬の組み合わせが最高に可愛くて泣きそうになった。
ふたりは親友なんだろうなとか、男の子が泣いてる時はトイプードルが慰めてくれるんだろうなとか、男の子がどんどん大きくなってトイプードルはどんどん老いていくんだなとか一瞬のうちに色々想像してしまった。
ありがとう、ありがとう………
なんなんだ私は……………。